マリック・ベルカンヌ先生の怒りの声

過去から現在の永きにわたり、フランスとその文化・言語によって育まれ輝き続けている数多くの偉大な人々、今日、フランス語を使って暮らし、働き、生きている全ての人々、フランス語やフランス文化を学んでいる世界中の人々、そしてフランスを愛する全ての人々のために、私はこの拙文を捧げます。

東京都知事石原慎太郎氏がこのたびフランス語とフランス語を使う人々に対して行った、誤った侮辱的な発言をうけ、私たちは酒井幸先生、新谷桂先生、寺井一弘先生、永尾廣久先生、今給黎泰弘先生、金塚彩乃先生、神山昌子先生など弁護士の援助のもと、法的な行動に踏み切ることにいたしました。(訴状)去る2月に石原氏に対し、発言が正しいというならその根拠を示すように、それができないなら発言の撤回を求める旨の公開質問状を、3週間の返答期限付きで送付いたしました。しかし都知事からは、いまだに何の返事もありません。このため、私たちは彼の責任を法的な場所であきらかにするための行動をおこすことにしたのです。日本およびフランスにおいて、署名を通じて、すでに数百人の方々から支援の意を表明していただいています。この方々に感謝の意を表明すると同時に、署名は上記の公開質問状とともに石原氏あてに送付いたしましたことをご報告申し上げます。

この裁判の提起にあたっては、これまで以上に、この戦いに意義を見出してくれる方々の、遠く近くでフランス語とかかわって暮らしている方々の、そして政治の役割は「発言を通して自分の気に入らないものを排除し人種的な憎悪をあおることではない」と考えている全ての方々のご協力をあおぎたいと願っております。石原氏の発言が、愚かでグロテスクだと微笑む人たちがいる一方で、多くの人たちが傷つき、その誇りや職業をも傷つけられたと感じていることは言うまでもありません。このような発言に対しては、ただがっかりし、批判の行動を起こすことには疲れを感じてしまう人々もいますが、私たちは、うつむき、あきらめることだけはすまいと決めました。そのためには皆様からの援助が非常に貴重なものとなります。

この戦いに積極的に参加してくださる全ての方々に感謝いたします。私たちの戦いが、フランス語・フランス文化に対してだけでなく、ひいては人類と多様な文化、言語に対する敬意へと導かれることを願ってやみません。

2005年5月18日

石原都知事のフランス語発言に抗議する会
代表 マリック・ベルカンヌ

 

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